薬局で多い相談の一つに「便秘」があります。最近になって便秘の新ガイドラインができたので、ご紹介したいと思います。

慢性便秘症診療ガイドラインによると、便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

便秘と言っても、大きくわけて二つの種類に分けられます。

  • 排便回数や排便量が少ないために糞便が大腸内に滞留する。(排便回数減少型)
    • 大腸通過正常型 :食事の内容や量が便秘の要因になっていて、食物繊維や食事の量を増やすと改善する。便容量の減少を招く食生活(ダイエットなどによる量の減少や便となる残渣が少ない)が原因となっている。
    • 大腸通過遅延型 :腸管(結腸)の動きが悪く便が腸内に滞りがち、排便回数は週に1回程度で、食物繊維を増やすとさらに便秘が悪化する。
  • 直腸内にある糞便を快適に排出できない。(排便困難型)
    • 機能性便排出障害
      • 直腸肛門反射が減弱(浣腸の乱用や肛門内異物挿入など)
      • 直腸脱、直腸瘤など(必要が有れば外科手術)

少し難しいお話になってしまいましたが、便秘対策として食物繊維を摂ることが多いですが、ここでお伝えしたいのは、便秘=食物繊維をとればOK!ではないということです。

大腸通過正常型の便秘の方は、食物繊維や食事の量を増やすことで症状が改善されます。しかし、大腸通過遅延型の便秘の方は、腸の動きが悪くなっているところに、便のかさを増す食物繊維をとることでますます腸内に滞留する便を溜め込むことになり、便秘症状を悪化させてしまいます。

自身の便秘がどのタイプであるのかを正確に見極めるためには、専門の検査が必要になります。

当薬局はセルフメディケーションのお手伝いをしていますが、ひどい便秘である場合は、病院を受診することをおすすめしています。

自己判断で治療しようとすることは危険な場合もありますので注意してください。

次回は、便秘をひどくしないために日頃から行うことについてお話したいと思います。